真珠の耳飾りの少女
(青いターバンの少女)

Girl with a pearl earing
ハーグ(オランダ)
マウリッツハイス美術館


1665年頃
44.5×39cm


この作品を3Dで観ると…
このあどけない少女が、世界中の絵画ファンのみならず多くの人々を魅了し続けています。
フェルメールの名前はすぐに出てこなくてもこの絵を知らない人は少ないはずです。
それ故過剰に評価され過ぎている懸念もありますが、それに応えるだけの魅力はやはり持ち備えています。
それでも1882年に競売ではたったの約2ギルダーでデ・トンブ氏に購入されています・・・

このほぼ黄色と青色だけで作り上げられた画面構成は確かに見事です。
しかも敢えて余計なものは描き込まず、バックを黒にすることによって
この少女が浮かび上がってくるような感じを受けます。
下世話な表現ですが、「生々しく」観えてきます。
我が家では一時期この絵のポスターを一階の廊下に飾っておいたことがあります。
ところが例えば夜中たまたまそこを寝ぼけて通る時、この少女が「居る」ようで
とても怖い思いを何度かしました。(それからそのポスターは場所を変えました。)

魂が籠められているような作品です。画家の思い入れがとても強く伝わってきます。
そうなるとモデルは果たして誰なのか?という疑問も出てきますが、それは謎のままです。
一説にはフェルメールの実の娘とも言われていますが年齢的に合わないようです。
そこで小説『真珠の耳飾りの少女』ではフェルメールの家にいた?お手伝いさんを
登場させそのお手伝いさんがモデルになったとして、画家フェルメールと絡め
一つの恋物語に仕上げています。(映画も公開。詳しくはこちら
尚、1696年の競売目録には3点の「トローニー」があり、「古代風の装束」をしているとなっているそうです。
トローニーは不特定の人物を描いた頭部図といことで、肖像画とは別に扱われます。

また、こちらを振り向いた一瞬を捉え描いたと思われるこの作品の魅力の一つに
顔(頭)が傾いている点があげられます。
真正面から描いたのではこの絵の持つ魅力の十分の一も出せないはずです。
この斜めのライン(「赤」い唇から鼻を伝い「青」ターバン、「黄」色の布へ続く線)これ絶妙です。
この独特のポーズはレニの「ベアトリーチェ・チェンチ」との関連性も指摘されています。
(でも、この可憐なチェンチは・・・実の父親を殺して、そして自分も。。。詳しくはこの本で)
 
Guido Reni(1575-1642) Portrait of Beatrice Cenci c.1662 Galleria Nazionale d'Arte Antica, Rome

こちらが見つめられているという点では「手紙を書く女」と変わらないのですが
あちらは見ていることを見つかってしまったような感じをどうも受けます。
それに比べこちらの絵は見ている「私」との関連性がより「濃厚」な作品です。
それもまたこの絵が高く評価される一因なのかもしれません。

この絵は1998年?平成10年)7月にマウリッツハウス美術館で観ました。(こちら
そして、大阪で平成12年に開催された「フェルメールとその時代」展で再会しました。

ハーグでは静寂。大阪は喧騒の中での鑑賞でした。


同じオランダのライクスにあるこの絵も良い作品です。 
Jan Cornelisz. Verspronck(C.1597-1662)Portrait of a Girl Dressed in Blue, 1641 Rijksmuseum, Amsterdam

最後に問題でも。↓の「真珠の耳飾りの少女」は↑に使った「真珠の耳飾りの少女」と
一点違いがあります。近年修復され上に載せたものとなりました。
色合いは別として何処が違うか分かりますか?

 

答は真珠のイヤリングの輝きが違っています。修正前の下の作品には涙型のイヤリングに
白い光の反射が左側だけでなく向かって右下にも点で表されています。(こちらで拡大)
ただ、これは後になって付けられた点だったという事が判明し修正時にはそれを
きれいに取り除いています。(こちら
たった一つの白い点ですがあるのと無いのとでは
見え方がとても変ってしまうことに気が付きます。



     
こちらの写真はオランダにお住まいの方が送って下さったものです。
                          (2004/07/01

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ドイツ・シャルプラッテン
モーツァルト交響曲
第40,41番
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