女と召使
(婦人と召使)

Mistress and Maid
フリックコレクション(アメリカ)
フリック・コレクション


1667年頃
90.2×78.7cm


この作品を3Dで観ると…
アーミン柄のいつもの黄色い服をまとった女性に、召使いが手紙を差し出しています。
指をあごにあて幾分怪訝そうな顔つきでいるのが気になるところです。
体中に光を浴びているのとは対照的な戸惑い気味の顔つきと仕草です。

(テル・ボルフが描いた女性も怪訝な面持ちですが、指はあごにあてていません.
 わずかの違いですが受ける印象はかなり変ってくるものですね。)
            
Gerard Terborch(1617-1681) Woman at a Mirror, C.1650 Rijksmuseum, Amsterdam

どんな物語がこの作品には隠されているのでしょうか。
(E.V.ルーカスはこのシーンを「女主人が夕食のメニューを言いつけているところ」
としています。中々面白い解釈ですね)
こうした色々な見方ができる幅を持ち備えた作品です。
絵の前に立ってあれこれ想像するには所蔵の美術館共々最良の作品の一つだと思います。
(所蔵のNYフリックコレクションはヘンリー・フリック氏の邸宅をそのまま美術館に
あしらえたものです。この作品が展示されているthe West Galleryは大変贅沢な空間で
ついつい長居してしまう場所です。)

フェルメールの作品にしては大きな絵です。
彼の描いた風俗画の中では断トツと言ってよいほどの大きさです。
それ故この作品は大きさを指定された注文作だったとの見方もされています。
また未完成の作品とも言われていますが(女性の頭部や両手)
そうだとしても十分に見応えのある作品です。
特に女性の髪飾りに使われている真珠の連なりが見事です。
頭巾でなく髪を宝石やリボンで飾るようになったのは1660年以降のモードだそうです。
当時としては最新の流行を取り入れた髪型だったのでしょう。
絵からこうして服飾や当時の流行を見ていくのも面白いものですね。
それにしてもこの女性家で手紙を書いているにしては随分と着飾っていますね。

映画監督ピーター・グリーナウェイは一番好きな作品としてこの「女と召使」をあげています。
さらに彼のこの絵に対する思い入れは。。。以下掲示板でお馴染みのシルフさんの文章です。
彼の映画「ZOO」の中で双子に愛された女(アルバ)が事故で片足切断されたことに気づいた
時の髪型は、「婦人と召使い」の髪型とまったく同じです。
それ以外にも彼の映画の中にはフェルメールの影が随所に見られます。探してみるのも楽しいですよ


背景は真っ黒のように見えますが、かすかに中央から右側にかけて斜めに
カーテンの跡らしきものが見てとれます。これは1800年代に当時の愛好された
テル・ボルヒのスタイルとするため手を加えられたとされる見方があります。
(1809年に出されたこの作品の版画は背景が無地一色とされています)
また召使いの顔も修正のあとがあるのではとされています。

  
Gerard Terborch(1617-1681) Lady Reading a Letter (detail) Musee des Beaux-Arts, Lyon


この絵は2000年3月と2001年3月にNYのフリック・コレクションでを観ました。こちら
フリックコレクションにある他の2点のフェルメールの作品とは良い意味で全く異質のものでした。
ここで購入したポスターは今、階段の途中に飾ってあります。

3Dのページは「OLDCITY's3D CG Vermeer」様からのリンクです。
リンク快諾感謝致します。

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モーツァルト
ディヴェルティメントKV.136


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